逆張り型テクニカル分析ストキャスティクス

相場の買われ過ぎ・売られ過ぎを判断する分析手法ストキャスティクス

ストキャスティクスは、オシレーター系のテクニカル分析手法の一つです。株式相場で過熱感が高まり、買われ過ぎている状態や、悲壮感が蔓延して売られ過ぎている状態を判断する事ができる分析手法です。

テクニカル分析ストキャスティクスを使う


RSI同様に、相場の過熱感を表すテクニカル分析として有名です。テクニカル指標が簡単ですから、個人投資家に人気があります。

ストキャスティクスの特徴まとめ

・売買シグナルの判断難易度:初心者向けで簡単
・得意な相場   :ボックス相場


ストキャスティクスは、株価から2本のラインを生成し相場の状態を表します。現在はファーストストキャスティックスと、スローストキャスティクスの2つが有名です。

ファーストストキャスティックスは、相場変動に対して高感度に反応するのですが、その分だけ騙される事が多くなります。その欠点を改善したものが、スローストキャスティクスであり、こちらを一般的に利用する事が多いです。

名称 2本の分析ライン 特徴
ファーストストキャスティックス 「%K」
「%D」
高感度のため短期売買向きだが
シグナルの
ダマしが多い
スローストキャスティクス 「Slow%K」
「Slow%D」
ファーストストキャスティックスの
欠点を補完。一般的に利用する指標

なおボックス相場に強いですが、トレンドが発生する相場では騙される事が多いです。トレンドが発生している相場では、トレンド分析型MACD移動平均線、などと併用しましょう。

2016年8月22日更新

「ストキャスティクスの計算式」と「設定するパラメータ」について

ファーストストキャスティックス、スローストキャスティクスの2本のラインは、下記計算式によって算出されます。

スローストキャスティクスは、ファーストストキャスティックスの計算式も利用します。一般的にスローストキャスティクスを利用する事が多いですから、下記の式全てが用いられていると考えてOKです。


ファーストストキャスティックスの具体的な計算式

%K=(直近の終値-過去n日間の最安値)
           ÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)×100
%D= m日の%Kの単純移動平均


スローストキャスティクスの具体的な計算式

Slow%K= %D (ファーストストキャスティックスの「%D」です)
Slow%D= x日の%Dの単純移動平均


三菱UFJフィナンシャル・グループを参考事例として、スローストキャスティクスを表示させた下記チャートをご覧下さい。

スローストキャスティクスは、「0~100%」の数字で変化します。株価の上昇に伴いスローストキャスティクスの2本のラインが、上昇して100%に近づきます。

逆に株価が下落すると、スローストキャスティクスの2本のラインも下落して0%に近づきます。

スローストキャスティクスが100%に近づいた状態が過熱感(買われ過ぎ)を表し、0%に近づいた状態は閑散(売られ過ぎ)状態を表すことになります。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) のチャート

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)

スローストキャスティクスの設定するパラメータ

スローストキャスティクスのパラメータ値は、「期間n」「平滑化期間m」「平滑化期間x」の3つになります。一般的に利用されるパラメータ値は下記のようになっており、期間n=14、平滑化期間m=3、平滑化期間x=3の設定が多いようです。

名称 パラメータ値
期間 n 5日 or 9日 or 14日
平滑化期間 m 3日
平滑化期間 x 3日


トレードステーションでスローストキャスティクスを設定する場合は、下記パラメータ値を調整します。

スローストキャスティクスの設定するパラメータ

トレードステーションのスローストキャスティクスの設定

スローストキャスティクスの具体的な使い方を解説

ではオシレーター系テクニカル指標であるスローストキャスティクスを利用した売買について解説します。


スローストキャスティクスの売買シグナル

スローストキャスティクスは、「ボックス相場」で逆張りシグナルとして活用します。


「Slow%D」の値が、0~20%時が「売られすぎゾーン」と呼ばれており、「買いサイン」と判断する事になります。更にゴールデンクロス(「Slow%K」が「Slow%D」を下から上に抜ける)すると、強い買いシグナルと判断します。


逆に「Slow%D」の値が80~100%時は、買われすぎゾーンと呼ばれ「売りサイン」と判断します。このゾーンでデッドクロス(「Slow%K」が「Slow%D」を上から下に抜ける)すると、強い売りシグナルと判断します。まとめると、下記のようになります。

買いシグナル 強い買いシグナル 売りシグナル 強い売りシグナル
売られすぎゾーン ゴールデンクロス 買われすぎゾーン デッドクロス
買い エントリー 手仕舞い
売り 手仕舞い エントリー

売られすぎゾーン:「Slow%D」が0~20%
買われすぎゾーン:「Slow%D」が80~100%
ゴールデンクロス:0~20%で「Slow%K」線が「Slow%D」線を下から上に抜けた時
デッドクロス:80~100%で「Slow%K」線が「Slow%D」を上から下に抜けた時

トレードステーションでバックテスト実施時の、スローストキャスティクス・ストラテジー設定

スローストキャスティクスを利用した売買の有効性は、トレードステーション(マネックス証券が提供しているツール)で、バックテスト(検証)ができます。


スローストキャスティクスを利用した買いエントリー、売りエントリーのストラテジー(売買プログラムのイメージ)が用意されていますから、下記ページを参考にして、検証に挑戦する事をおススメします。

⇒参考:トレードステーションのバックテスト機能で投資手法を調べる方法

スローストキャスティクスの設定するパラメータ。トレードステーション版

トレードステーションのバックテスト・スローストキャスティクスの設定

スローストキャスティクスの逆張りシグナルを利用した売買事例

実際に三菱UFJフィナンシャル・グループの日足チャートで、スローストキャスティクスの売買シグナルを元にエントリーした結果をご覧ください。得意なボックス相場であれば、スローストキャスティクスのシグナルが有効ですね。

スローストキャスティクスのバックテスト。トレードステーション版

日足 期間n:14日 平滑化期間m:3日 平滑化期間x:3日



ただし下記のようにトレンドが発生すると、スローストキャスティクスの売買シグナルが機能しません。例えば売られ過ぎゾーンのゴールデンクロスで買いエントリーしても、株価の下落が続き、常に売られ過ぎ状態が続きます。前述のようにBox相場でのみ、利用する事が必須ですね。

スローストキャスティクスのバックテスト。スローストキャスティクスが機能しない場面トレードステーション版

日足 期間n:14日 平滑化期間m:3日 平滑化期間x:3日



以上のようにテクニカル分析は、得意不得意な相場局面があります。下記のように、威力を発揮する状況を見極めて使い分けると利益を出しやすくなるでしょう。

⇒ 株価にトレンドが発生する局面が得意なMACD移動平均線
⇒ ボックス相場で威力を発揮:逆張りシグナルを出すRSI



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