株主優待銘柄の長期保有が危険な理由
一般の個人投資家が株主優待などを狙った投資手法に誘惑されてしまう理由の一つに「安全そうで、優待メリットが大きい銘柄を永久に保有」すれば、株価の値動きを特に気にする必要が無いという点でしょうか。
「未来永劫、銘柄を保有するから問題は無い」という考え方は、少し危ないですね。
例えば株主優待の代表的なものに航空会社が提供している、株主優待割引というものがあります。これは正規料金で支払う必要がある場合でも、半額の値段で済むというものです。
都会に住んでいる方で、地方に飛行機を利用して帰る方にとっては非常に魅力的なサービスです。
(ちなみに管理人は、ANAを優待券狙いで保有していた時期があります)
実はANAでは無くて、JALを優待狙いで保有していた方は大変な目に合ったのです。
未来永劫保有するつもりでも損失になる場合がある
当時のJAL(日本航空)の株式を1,000株購入すると、普通運賃の片道分が半額になる株主優待券が入手可能でした。航空会社の株主優待券は非常に人気があり、金券ショップで売却すると4000円程度になります。
例えば、往復分のJALの株主優待券が欲しい場合は、2,000株必要です。
下記のように2006年当時は300円程度でした。1,000株で30万円、2,000株だと60万円必要でした。

引用元: 楽天証券の記事より
整理すると、下記のような形です。優待券の魅力で非常に多くの市民がJAL株を保有していました。
JAL株の保有数 | 必要な投資額 | 優待券の価値 | 利回り |
---|---|---|---|
2,000株 | 600,000円 | 8,000円 | 約1.3% |
で再度、下記のチャートをご覧ください。皆さんもご存知だと思いますが日本航空(9205)は、2010年に会社更生法の適用により上場廃止した事で株価1円で取引が終了し株券が紙くずになりました。

引用元: 楽天証券の記事より
未来永劫、株主優待券を受け取るつもりで株式を保有している方は、どんなに株価が下落しようが売却する事は無いと思います。
では例えば、JAL株を20年程度保有して優待券の恩恵を存分に味わったとしましょう。更に株価が下落していたとしても過去に何度も株価の上下動を見ているはずですから、無視するはずですね。で最後に紙くずになったとします。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
20年分のJAL優待券の価値 | 160,000円 | 8,000円×20年 |
20年後にJAL倒産による損失 | ▲600,000円 | |
トータルの損益 | ▲440,000円 |
※JALを2,000株60万円で購入と仮定
ご理解頂けましたか?
未来永劫保有する気持ちでいたが為に、最終損益は44万円の大損失です。

20年近く、投資に成功したと思っていても最後の最後に失敗すると全てが水の泡になる可能性があります。永久保有するから問題は無いと考えるのは止めておきましょう。

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