民間航空機MRJの投資負担が重荷に、投資は見送り判断
三菱重工業の最大の悩みは、子会社三菱航空機が担うMRJの混沌とした開発です。当初想定の約4倍になる6000億円規模まで開発費が拡大。今後、開発費が8000億円規模に達する可能性もあり、三菱重工業のMRJ投資負担が業績の重荷になっています。

三菱重工業のポイント
- 主力のパワー事業、インダストリー・社会基盤事業は、増収増益
- MRJへの投資負担により、航空・防衛・宇宙事業が赤字に転落
- MRJ開発の不透明感が満載。投資負担による三菱重工業の業績悪化が心配
(2018年12月17日更新)
三菱重工業は、日本最大の機械メーカーで三菱グループ御三家の一角
三菱重工業は、三菱UFJ銀行、三菱商事と並ぶ三菱グループ御三家の一角を担う超大手機械メーカーです。
売上の8割は、パワー事業とインダストリー・社会基盤事業が稼ぎます。各セグメントの事業内容が分かりやすいので、2016年度のセグメント別実績を掲載しておきます。
パワー事業は、原子力発電、風力発電装置、ガスタービンの開発製造を担い、インダストリー・社会基盤事業では、大型フェリー等の開発製造に取り組んでいます。
売上規模の小さい航空・防衛・宇宙事業は、ロケット・ミサイル、民間航空機MRJなどの開発製造となります。三菱重工業は、超大型装置を取り扱う機械メーカーです。
MRJ開発の投資負担は、三菱重工業の業績を押し下げる要因に
2018年10月31日に発表された三菱重工業の通期業績見通しによると、前年比で事業利益が約3倍近く増加、当期利益の黒字化を達成しています。増収増益ですので、数値の面のみで判断するならば、良い経営状況に見えます。
しかし、三菱重工業には大きな経営上のリスクがあります。それは、子会社の三菱航空機が推進する小型旅客機MRJの開発が極めて不透明な状況に陥っているのです。
2008年に全日空から受注を受けて開発が始まりましたが、未だに開発が完了しておらず、見通しが悪い状況にあります。2018年度も三菱重工業から、MRJの開発投資として900億円が投入されていますが、回収の見込みに疑問があります。
以下は、2017年8月24日の記事です。MRJの納期を5度延長しており、9年間で利益がゼロの状態で新規受注が困難な状況です。さらに、2018年1月26日にイースタン航空との間のMRJの契約がキャンセルとなりました。
納期5度目の延期のMRJ、債務超過へ…9年間利益ゼロで実質破綻状態、新規受注も困難 https://t.co/WLIlAY9QE3 @biz_journalさんから
— 株価予想は本当に当たるのか? (@investmentsstoc) 2018年12月15日
2018年12月13日の記事によると、収益の改善策として開発が難航するMRJの事業と航空機部品事業を統合すると三菱重工業が表明しています。
開発難航のMRJ、航空機部品事業と統合へ 三菱重表明:朝日新聞デジタル https://t.co/XXVmJRMZAq
— 株価予想は本当に当たるのか? (@investmentsstoc) 2018年12月15日
さらに、三菱重工業は三菱航空機の500億円の債権を放棄する方針も打ち出しています。今後も、三菱重工業からのMRJ開発資金が投入されるでしょう。ですので、三菱重工業自体の業績の重荷になりそうだと考えています。
主力事業が増収増益で奮闘して、MRJの投資負担をカバー
三菱重工業の主力となるパワー事業、インダストリー・社会基盤事業の今期業績は、増収増益です。問題は、航空・防衛・宇宙事業でして、赤字です。(赤枠の箇所)
これはMRJの投資負担が大きいのだと思います。今期のMRJへの投資負担900億円がなければ、航空・防衛・宇宙事業は450億円の事業利益を出せていたはずです。
各事業部門の利益率は、4.2%~8.4%ですので製造業として収益性は悪くないです。三菱重工業の利益をかなり食い潰すMRJ開発のリスクは大きいと感じています。
・パワー事業の事業利益率:8.4%
・インダストリー・社会基盤事業の事業利益率:4.2%
・航空・防衛・宇宙事業(MRJの900億の投資負担を除く)の事業利益率:6.4%
今後の業績が上向くとは思えず株価も冴えない、投資は見送り
さて、三菱重工業の直近5年のチャートを見た感じでは、今後の業績の不透明感さが株価に表れているように見えます。
2016年1月以降では、4000円強の値動きが続いています。将来、業績が上向く事を期待して投資家が株を買うので、先行き不安の三菱重工業の株価は停滞するのでしょう。
●週足5年チャート
なお、幸いにも2009年頃からの長期上昇トレンドが継続しています。ただ、三菱重工業の業績にインパクトのある事件が起きてしまうと、この長期上昇トレンドが崩れてしまう可能性が高いです。その際は3000円まで、株価が下がる可能性があります。
●月足10年チャート
総合的に考えて、リスクを取ってまで三菱重工業の株に投資するメリットはないように感じます。しばらくは、静観してみます。
三菱重工業の概要
・企業名(銘柄コード):三菱重工業(7011)
・上場市場:東証1部
・業種:機械
・最低購入単価(単元株数):42万5,100円(100株)
・時価総額:1兆4,533億円
・利益剰余金:8,446億円
・有利子負債:1兆2,112億円
2018年12月時点で管理人がチェックした機械銘柄
三菱重工業の売買をする場合にお勧めの証券会社
三菱重工業を利用して株式投資をするのでしたら、下記の証券会社の中から好みに応じて使い分けると良いかと思います。
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